SKR-A桜川の集合住宅2005年

SKR-A

都市住宅整備公団(現・都市再生機構)の民賃制度を利用した集合住宅の計画。板橋区桜川に竣工しました。現場打ちによるポストテンション・プレストレストコンクリート(PRC)を用いた床板と壁版だけの構成による1DK形式の集合住宅です。

SKR-A

各住戸の戸境壁はそのままファサードまで伸びて連続する壁面としてその木口を連ねます。均等に配置されたその壁はリズミカルに並び排他的な表情に変わります。

左:上:前面道路東側から見た様子。

右:下:同じく西側から見た様子。石積みの壁は既存建物の前庭の道路面との高低差を支えていた見知石を再生して使っています。事業主の強いご希望です。
また建物の側面に見える突起はアルミダイキャスト製のPC緊張端の保護カバーです。

SKR-A

前面道路とは少し離れた位置にあるアプローチ部分。この敷地は変形旗竿状の形をしています。その旗竿の杖にあたる部分がアプローチ通路になります。両脇は隣地。アプローチの両側にある塀はアルミスパンドレル製。もともとの計画ではエントランスの庇の下面まで連続した高さで計画していましたが、敷地境界まで隣接する近隣住民との交渉の結果、この様に全体的に高さを下げ、更に段を付けて徐々に低くするという折衷的な解決方法に帰結しました。

左:上:アプローチ通路からエントランスの正面に向かったところ。正面の木製ドアは自動ドアで円陣ボックスは上部スラブ内に隠蔽。そのため建具は天井一杯まで立ち上がります。この時点ではその向こう側にある植栽の様子がうっすらと知覚できます。

右:下:エントランスの自動ドアが開いた様子。そのまま通り抜けて向こう側にある植栽が一面に見えます。

SKR-A

エントランスの自動ドアから進んできた道を振り返ったところ。自動ドアの両側は嵌め殺しのガラスです。午後になるとガラスを通して外の光が強く入射します。

共有廊下部分。近隣住居が隣接するため目隠しのスクリーンを建てましたテンパライトガラスの上からフロストフィルム貼り。

左:上:屋外階段を最上階から見下ろした様子。この階段はトラス階段方式をとります。トラス階段とは階段の昇降点を上階と下階だけで支え、ささらの形状と併せて全体で大きな三角形を構成して固める構造の手法を用います。すなわち、踊り場部分を含む昼間部には一切の柱がなく、階段そのものを床面から宙に持ち出す形になります。またこの階段は更に段板にグレーチングを用いて完全に下まで透ける構成。エントランスから続く緑の植栽に向かって空中に躍り出た感じ、を目指しました。

右:下:グレーチング段板を下から見上げた様子。横面のガラスの目隠しスクリーンからも50mm離れ宙を折り返しています。