SZK-C千束の住宅2010年

SZK-C

夜間、照明に頼った状態の浴室の様子を中庭側から見た様子。
まず、囲まれた中庭に対して浴室もこのような形でその全面を開き、開放的な浴室を目指しています。また夜間寝室の照明を落としてバスルームの灯りだけを使った演出が出来ます。照明はもとよりここではジャクソンの浴槽そのものを発光させる、或いはTOTOの洗面器ルナクリスタルも発光させることが出来るため器具そのものを光らせるよく言えば幻想的なシーンを演出することが可能です。

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浴室はその床面を白いタイルで構成し、中央にジャクソンの浴槽を設置。そのタイルの範囲は間仕切りとなるガラスの壁を越え寝室側を侵食。視覚的な仕切り線と実際の間仕切り線を曖昧なものにしています。浴室はその浴槽の高さまでを白いタイルで構成することで塊として「置かれた」見せ方を試みました。

左:上:寝室の照明を落として浴室の光だけで浴室を見た様子。床と同調する形でオブジェクト自体が影として消えていく様を試みたもの。

右:下:PCリブの流れに対して直行方向に間仕切りがくる場合、上部の水平材とPCで囲まれる台形の部分にはすべてアクリル板を同じ形に加工したものを挿入してその空隙を塞ぎます。ややもすると要素過多になりかねないシーンを極力最小のエレメントで構成したもの。

左:上:引き戸を開けて洗面脱衣室を見た様子。この部屋の「水廻り」の部分が矩形による白いプレートの上に展開される様子。

右:下:洗面脱衣室側にある水廻りの収納棚。右上のガラリは洗面脱衣室の換気扇、左下は洗濯機スペース。収納棚の上部は天井には届かず再びガラス間仕切りにより隣室と間仕切られます。

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ジャクソンの浴槽を通して洗面台に向かった様子。浴槽と浴室、洗面器、トイレの位置関係が明白な見え方。防水の必要な箇所のみ浴槽面までタイルを立ち上げ防水をしていますが、そこまで必要のない部分は床面で終わらせて床と壁面の取り合いはこの写真の様になっています。

左:上:TOTOのルナクリスタルという洗面器。「ルナ」は月という意味だが月というよりも皆既日食に近いイメージ。見た目は謎だが構成はいたって簡単。カウンターと同材の底板があり、それを洗面器の内側に置くとこういう形になります。しかし洗面器そのものが「光る」というのはこれまでになかった機能。

右:下:ルナクリスタルの洗面器は、そこに埋め込まれているLEDが半透明の人造大理石の内部を棉って乱反射して全体を発光させるのに対しジャクソンの浴槽はオプションで水中にLED光源を入れることにより器ではなくその中に湛えられた水全体が光る。照明器具が室内を照らしているときはその発光している姿は殆ど認識されないが照明を落すとLEDが水面に乱反射してゲル状の液体が充ちているかに見える。しかもその光は時間に応じて7色に変化するというキワもの・・・と言うか優れもの。しかしそれをして室内の照明にとって代わるほどの光量はない。水面とその上部数10cmくらいまでが照射範囲だろうか。すなわち室内を照らすほどの照度ではなく、あくまでもその浴槽に浸かっている人の顔までをぎりぎり照らし出す程度。しかもブロー効果により水面が煮立った様に泡立つとその見え方は現世を忘れさせるほど。7色の変化が建築の内部空間を支配するまでには至らないためその光景はあくまでも闇の中で展開される。その絶妙な塩梅は実によく出来ていると言える。

左:上:自然光のもと洗面台の鏡を通して中庭を振り返った様子。

右:下:洗面脱衣室に入るところの引き戸とガラス間仕切りの納まり。写真は引き戸が開いた状態。