MXM-C落合の専用戸建住宅2006年

MXM-C

2階にリビングルームがあります。このリビングのCHは約4mで開口部と反対側の面はL字型に天井の低い(と言っても2.5m)部分があり、その上部がロフト状の収納スペースになります。

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低い天井の部分は食事のスペース、日常的なこまごまとしたものの収納が並び、立ち上がりの壁とはルーバーで見切られます。ルーバーの背面には空調機を隠蔽し、そのルーバーはそのまま奥の客用トイレに切り込む形で続きます。

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リビングの一画にあるキッチンスペースの展開の様子。
リビングの収納用の棚がそのまま連続してキッチンに繋がります。全てステンレスのヘアラインで構成されているこのシステムは「銀色の塊」としてリビングの一画を占めます。サンウェーブの凛シリーズをベースにカスタマイズしたもの背面に冷蔵庫、アイランドカウンター下に食洗器を組み込んでいます。また凛シリーズは「壁面型」しかないためカウンターの造作、写真の様なアイランド型として使った場合の正面パネルをそのシステムに合わせながら家具工事にて組み立てました。生活の色を感じさせないシンプルな仕様のシステムキッチンです。

左:上:カウンターを上方から見た様子。 この様にカウンターには「水返し」「水切り」「転がり防止の立ち上がり」は一切泣く、極力シンプルな形にまとめてあります。リビングの一画で「見せるキッチン」として存在しています。しかし実際にはこのフラットなカウンタートップは使いやすく収納を背面に控え、掃除のしやすさも手伝い、実は使いやすいそのままの形になっています。水栓金物はドンブラハを使用。

右:下:サンウェーブの凛をカスタマイズしたキッチン天板にドンブラハの水栓金物が突き出る様子。

左:上:変わってこれは客用のトイレ。客用トイレのカウンターは壁面より僅かに離れ宙に浮く形で持ち出されています。その下面に間接照明を隠蔽しているため、部屋の照明を消してもトイレの内部はこの様に照らされます。カウンタートップと壁面の鏡の隙間から、浮いているカウンターの空隙を通してほのかに漏れる間接照明が認知できます。

右:下:トイレの室内の照明を点灯した状態。

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リビングからテラスの方を見たところ。木製デッキのテラスを囲う様にガラスのスクリーンがあります。リビング及びその上部階のプライバシーを確保しつつ、採光、開放感を持たせつつ、を両立させるための装置。

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敷地の形状から必然的に生まれる二つの三角形がぶつかるところ。テラスはこの様に大きく2つの三角形が重なるような形になります。遠近法が自ずと生じ、実際よりもやや深めなストロークを感じさせます。

左:上:中世イタリアの広場の様に建物に切り取られ「偶発的に出来た空隙」は意外に心地よい空間になります。死角となるスペースが生じながらもそこに「気配」を漂わせる世界。

左:上:リビングのコーナー部分とテラスの「無意識のうちに結果的に出来た空隙」はこのコーナーサッシによって仕切られます。テラスの形を自然に二つに分け、大きなスペースと小さなスペースを作り出します。その小さなスペースはこのサッシによりポケットの様な空間になります。

右:下:そのサッシの下端のディテール。コーナーの方立てを用いずに見付け巾分をずらすことにより角の存在を消します。

リビングから階段を見たところ。

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隣家の笹の葉がそのシルエットをガラススクリーンに映しているところ。借景ならぬ「借影」。ガラススクリーンは室内で座った目線でこの様な10mmのスリットが設けられ大判ガラスの圧迫感を排除しながら綺麗に「分割」されてています。