ITO-C大森の二世帯住宅1992年

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二階プライベートゾーンの廊下の様子。
細い道路に対して円弧を描くように配置されている建物のその円弧の一番大きな膨らみの部分は階段踊り場になります。その踊り場から左右に分かれる様に対称な階段を上がり二階に来ます。その階段部分は吹き抜けとして廊下に接し、単調な廊下は各寝室に対する片廊下として機能します。道路面に対して閉じているため、採光は廊下を三分する点にトップライトを設け自然光を採り入れて明るい通路を形成しています。

左:上:書斎の様子。
書斎の机に座るとちょうど前面の中庭の樹木のほぼ先端の位置に目線が重なります。天井まで抜けるように配置された大窓に空が映ります。

右:下:シャワー室手前洗面台。
洗面台の前面は縦長の鏡で足下まで続きます。

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アプローチの軸線と直行する形で住宅本体と和室を結ぶ導線があります。アプローチ部分が土足仕様で貫通するため、住宅部分から和室に渡る方法も基本的には土足に履き替えて、というスタイルをとり、必然的に「離れの間」となります。ここはその「離れの間」としての和室の紹介。

この和室は壁、天井が全てシナ合板で構成されています。天井のシナ合板は二次曲面に曲げ、壁の奥に吸い込まれる様なディテールを伴って「浮いている」様に存在します。その天井は填め込まれた障子の端部を一部切り取りながら坪庭へ向かう方向性を作り出します。写真はその障子が閉まった状態のもの。

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障子を開いた様子。外壁と同じ仕様で構成された塀が小さな坪庭を作ります。

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床の間部分はそこよりさらに奥行きがあるので天井がそのまま繋がりガラススクリーンに連続します。 ガラスの上部に簾式スクリーンを入れてシルエットとなる樹木にさらにフィルターをかけた様子。

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建物の屋根はシート防水を砂利で押さえたもの。薄肉ラーメンの梁の成を屋根面より上部に出すことによって成をかせぎ、室内の天井高さを確保しています。同時に屋根面に出た梁はおおまかな内部のゾーニングをそのまま外に表し、この建物の狭い前面道路側と敷地内に開いスペースを繋ぐ媒介としての存在を形作っています。

同時に建てた母家から中庭を介して本体建物を振り返った様子。

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本体建物の中庭側全景。

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屋上の屋根から母屋側を見た様子。