CSNC-01家庭用エアコン1994年

CSNC-01

近年、家電市場、特に家庭用ルームエアコンの市場ではその急速な拡大に伴い小型化、価格の低下、デザイン性の普遍化の波が席巻しました。家電製品そのものが白色家電と総称される市場に於いて特にルームエアコンは各社その独自性が薄れ、機能、デザイン、コストとほぼ横並びの状況のなか不毛な販売競争が行われています。本来ルームエアコン自体はその設置される室内においてかなりのアクティブな要素となるため、他の室内オブジェクトと比較してそのデザイン性が強く求められていたと考えられます。一方私達はそのデザイン性を高めていくため の手法として、それそのものの存在を極力目立たせない無機質の表層を追い求めました。

平面的な面の組み合わせからなる限りなく白色に近いインテリアの構成 の中に配置される異物としての物体を考えた場合エアコンとしての機械部分はゼロにはなりえないためそれを最小限に押さえ無機質の2次曲面の金属プレートで包括する表層デザインが最も透明で存在感のない姿ではないかと考えました。機械としての言語を表層から削除し、存在感そのものを消していくという今までと違う一つの方向性を企てたものです。

このエアコンは更に吹き出し口のルーバーの一つが上下します。エアコンの吹き出し口の近くでモノを乾かす習慣のある人に対して、特にワンルーム等の狭い住居で生活するケースを想定した商品化の計画です。