SKC-O芝公園クリニック2008年
東京タワーの麓、赤羽橋の交差点の近く、済生会中央病院、国際医療福祉大学三田病院といった総合病院がありながらも、「待たされることなく診療が受けられるクリニック」はその地域で強く望まれていた施設でした。
その様なニーズの中でオープンしたのがこの芝公園クリニックです。新しいテナントビル内に新規開業をした都市型の地域医療を目指した精神科、消化器系を中心にした内科のそれぞれの専門医により、近年増え続けている都市部のメンタルケアを対象にした精神科、コンパクトながら最新鋭の設備を施した内科外科の診療科目から構成されます。
写真はエレベータホールを降りてクリニック正面に向かったところ。間仕切りはガラスで出来ていてこの様にブラインドを落とすと内部の光が乱反射して明るい壁面を作ります。エレベーターを降りて一瞬真っ暗なエレベーターホールを閃光で照らす様な入り口の仕掛け。
ブラインドを 上げると正面に受け付けカウンターが見えます。床材は内部に使われているダーク系の無垢材フローリングをそのまま延長させてエレベーターホールまでその範囲を伸ばします。この受付を挟んで向かって右が精神科、左が内科外科のゾーンになります。
左:上:中に入って内科待合室のあたりから受付カウンターを見たところの様子。
右:下:内科待合室の照明をつけた時の様子。照明は全て間接照明で腰より上の壁と天井面との空隙に白熱色の蛍光管を埋め込み、その空隙に反射光によるラインを作りだします。
精神科診察室入り口から受付と更にその向こう側に続く内科待合室を振り返った様子。
受付の内側から精神科の待合いを見た様子。向こう側の黒い壁はトイレのフロントスペース。
左:上:カウンター超しに内科待合室を見た様子。
右:下:受付カウンターはこの様に天板と荷物置きを兼ねた作業テーブルがそれぞれ宙に浮く形で構成されています。作業テーブルは外からの見た目はボックス状に、天板はパネル状に水平に縁を切った状態で浮かび上がります。
左:上:内科待合室から受け付けを通して精神科待合室を見た時の様子。
右:下:精神科待合室。
精神科待合いの様子。ソファーの直線的な流れに歩調を合わせる様な楢の無垢材によるフローリングの木目の流れがうっすらと認識されます。
精神科待合いから内科待合いを見た様子。 このクリニックには待合室に合計4点の絵が置かれています。それぞれが目立たず、同時に視界に入らない位置に静かに置かれています。上の写真の絵は内科診察室に入るところの前スペース。
精神科待合いから受け付けを見たところ。待合い室に面する壁はその全てが天井に到達しないで上部に空隙を持ちます。機能上やむを得ない箇所はそこにガラスを入れ、そうでない箇所はそのまま空けてあります。その空隙を通して入る前面からの光が徐々に弱まり穏やかな光となって待合い室に射し込みます。ここではその穏やかな光が上空にある受付の様子。
左:上:エントランスに面した自動ドアは二枚あります。そのうちの一枚が入り口専用、反対側が出口専用です。反対側からその入り口のドアが閉まっているところを見た様子。袖部分にはガラスが入ってます。
右:下:同じ位置からそのドアが開いた様子。このスペースを介して空間が連続して繋がります。
左:上:精神科の診察室内。メンタルケアが主体となる診察室のため、医師と患者が机を介して向き合う形をとります。机はL字型に配置され医師専用の机と向かい合う机が噛み合う様な形で配置されています。写真は日中の様子。背後の大きな開口部から差し込む自然光をレースのブラインドで少し緩め落ち着く雰囲気を作り出そうと試みました。「診察」と言うより「接客」に軸足を置いたメンタルケアならではの構成。
右:下:夜間、間接照明による光で室内を照らし出した様子。
左:上:診察室背後のスペースから患者側を見た様子。
右:下:背後には簡単なものが置ける飾り台があります。直接患者さんの目に触れる場所にはありませんが、診察室そのものを落ち着いた雰囲気にさせる隠れたスペースです。
左:上:このクリニックの大きな特徴の一つにこのゆったりとしたトイレ空間があります。トイレの内装は待合室からそのまま連続して繋がる形でダーク系のフローリング床材、同材で構成される腰壁の中に真っ白の衛生陶器を配置しています。二箇所あってそれぞれ男女用に別れて待合室の背面に置かれています。写真はその女性用トイレの室内の様子。
右:下:衛生陶器側から洗面カウンターを振り返った様子。