IKW-O越谷市の医院併用住宅2007年
埼玉県越谷市の越ヶ谷駅から数分の比較的交通量の多い道路に面する形での医院併用住宅の計画です。この地で医院を開業して3代目による全面建て替えによる計画です。この医院を経営する二人に医師はそれぞれが内科・胃腸科・小児科の学会認定の専門医で小児から高齢者まで専門医による 診療を行っています。そのため地域との密着も濃く、工事期間中に休業することは出来なかったため最低限必要な施設を稼働させながらも休まずに医院を運営してきました。必然的に建物の配置そこから決まってくるなか、その中での最大公約数的な回答が建築計画に求められました。
この付近の交通事情並びに地元密着の医院であるため駐車場を広く全面に確保する必要があるということと、並びに建物の2階は専用住宅となるため、その「住宅の気配」を表に出せないということから自然に建築計画の概要が決められていきました。
この建物はRC壁式工法ですがポストテンションによる緊張力を導入しているのでこの様に宙に浮いた形の梁型が成り立ちます。その建物に向かって左側の長い通路は専用の駐車スペースとなり、雨掛かりもなく同時にその最奥に住宅部のエントランスを配しているためプライベートと医院の動線を穏やかに仕切っています。同時にそのスペースは長い「抜け感」を与えつつ既存の母屋の庭に続きます。
一方で医院の玄関は平らなファサードから突出する形の庇の下に囲われたガラスの箱が風除室となり医院待合室に面します。
建物本体は前面道路から少し引いた場所にあるため、前面道路にはゲートが設置され、そのゲートと本体の間が駐車場になります。写真はゲートから本体建物を臨んだところ。
前面道路にそのまま面するゲート越に建物を見た様子。休診日にはリンクシャッターが閉まりますが建物自体は見えるため道路に対しての圧迫感は軽減されています。
左:上:この医院はご夫婦による内科専門医と小児科専門医で運営されるためそれぞれの専門性を計画的にも明快にゾーン分けをしてそれぞれが自然な形でエントランスから導かれる形になります。
写真はその風除湿脇から住宅部分に抜ける長い通路の入り口部分。
右:下:エントランスの上部の庇の様子。庇の下はタイルがそのまま同じレベルでエントランスの風徐室に入ります。バリアフリーのため段差なくそのまま室内に続きます。
左:上:風除室横から見上げた様子。この部位はそのまま天空まで抜け、住宅部分の寝室から外部を見た際に白い壁で囲まれる光井戸になります。外壁面全体がシスタコートで覆われているため汚れにくく、また遮熱効果があり、ほんのりと光を反射するのでこの光井戸は見た目以上に柔らかい光を天空から導きます。
左:上:住宅部分に通じる長い通路から医院の方を振り返った様子。通路に面する院内待合室のハイサイドライトの窓と植栽部分の開放スペースが呼応します。