CCB-OP秩父中央病院1995年

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秩父市郊外の中心街から少し離れた所に建つ精神科病院の増改築計画です。いわゆる精神科病院らしさを払拭すべく建築の構成を次の2点から考えました。

  • 「家」をイメージさせる外観であること
  • 囲われた空間を視覚的に解放させること

この根本的な精神科病院としての機能と対立する要素をあえてもたせる事により、これからの精神科病院としての姿を現実的な束縛の中から模索しました。病院の顔たる外来待合室及び診察室エリアの中心に受付窓口と廊下を隔てて在宅介護支援センター、老人性痴呆疾患センター、さらにその奥には訪問看護ステーション、老人デイケアセンターを配置し、外来医療、在宅医療、相談機能を集中させました。病院併設の在宅介護支援はまだ例は少ないですが、外来入り口から直接アクセスできる位置にあえて配置し地域住民に積極的に利用してもらうことを意図しました。

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一方この計画は医療施設近代化整備事業の補助を受けたため一人当たりの療養環境は病棟面積18m2以上、病室面積8m2以上とする必要があったためその割り当てを、食、住を中心に考え、食事は各病棟での配膳とし、病室ではなるべく個人のプライバシーを守れるようにカーテン、個人用TV、ナースコールなどを設置しました。また対象となる患者が主に精神病状の激しい患者、一部身体合併症を持つ患者であるため急性期、ないし増悪期における治療機能を強化するため、精神科的な集中治療を行える管理機能を持つユニットの設定が求められました。180床規模の病院で大きなユニットを持つことは現実に不可能であるためナースセンターを中心に個室2室、2床室1室及び隔離室3床を配置しナースセンター内にもベッド1床が置ける広さを確保し、ユニットの各床にはO2配管を施し、画像モニターによって管理を行う設定となりました。

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側面から見た姿。サッシを含めたグレー色の本体をタイル貼りの方形のスキンで覆うように構成されています。躯体とスキンの間は150mmの空隙、屋根との間は450mmの空隙をもって全てのエレメントがお互いと離れるような形で存在しています。併設されたオーナー住居と併せて一体のキャンパスを群造形で形成しています。

左:上:側面から見上げたところ。タイル貼りのスキンと屋根が深い影を作ります。

右:下:風除室の自動ドアはそれ以外が全てガラス張りの中、それだけでフラットな屋根を支える様に立ちあがります。

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