OMY-A大宮の木造アパート1992年
埼玉県大宮市(現さいたま市)のはずれにある急速に住宅化しつつある田園地帯に計画された単身者用のアパートの計画です。何の脈絡もなく突然現れる住宅、まだまだ多い取り残された空き地、駐車場として利用される土地、そして畑。乱雑に開発されていった結果、当然ながらその土地にあるコンテクストなど何もなく、そこに計画される建築そのものも偶発的な意志をそのまま表現した形に結果的になりました。
都市計画から来るこの場所のボリュームは地上4階建てのマンションが可能、一方でそれを聞きつけた近隣の住民は猛反発。こんな場所でそこまでのボリュームを計画する方もする方だがその地に当てはめられた法律そのものも少しずれた感じがしました。一方で何が建とうが周囲はガラガラに空いているので日照には何の影響もないと思われる場所に「ワンルームマンション」と聞くだけで反対する近隣の方達にも問題がありました。結果2階建てに押し込められた形になったこの計画に対し私達が提示した姿は子供が無作為に積み木を重ね、家っぽい形状を恣意的な感覚を表さずに表現しようとしたものです。
計画そのものは各住戸にロフトがあり、2階の住戸ではその勾配屋根の段差を利用し、サイドライトとロフトが心地よく組み合わされた形をとっています。南面が完全に開放されているロケーションも手伝い日中は気持ちの良い空間になります。